2021年5月19日水曜日

精神疾患とWitchcraft

 Oriental Wiccaの通信講座の受講条件の中にも

・精神疾患がある方は悪化させてしまうなどの危険な場合がありますので、

   ①診断名
   ②服用中の薬と量
   ③薬を飲み始めて何年くらいか
  を書いた上で必づ事前にメールでお問い合わせください。

​というものがあります。

これはかなり以前から議論されている話題で、昔からある本にもよく「精神疾患全般にいえることだが、こうした病気にかかってる人は魔術とか魔女とかに関わっちゃ駄目」というようなことが書かれていますが実際どうなのだろう?という疑問は常に存在してきました。

ここでいう「精神疾患全般」というのはちょっと極端すぎると思います。そもそも「all or nothing」で考えるのが間違いなのだと思っています。だからOriental Wiccaの通信講座の受講条件でも「お問い合わせください」というスタンスをとっています。

しかし現実問題というか、この数十年の経験上言えることは「精神疾患を持っている人はWitchcraftに惹かれやすい」という傾向はかなり強くあります。それでも「基本的には、精神疾患の人はWitchcraftの道にかかわらないほうが安全」だということが言えるのも事実です。なぜならWitchcraftの実践していくと(善し悪しはまったく別として)かなりの精神的なストレスを感じる場合もありますし、精神的な変化(進歩など)を経験することがあります。こうした時に精神疾患を持っていると症状を悪化させてしまうことが多いのです。もちろん、問題がない場合もあります。

だからといって「症状やタイプによっては大丈夫です」等と書くと「ではどういうのはOKでどういうのはだめなのですか?」という質問に当然さらされるわけです。当たり前ですね。

でも、これに一つ一つ対応するのはかなり困難ですし、ましてや一般的な基準を明示することなど不可能です。だから、結局面倒なので誰もこうは書かなくなるわけです。そうなると、元々の「精神疾患全般、かかってる人はWitchcraftに関わっちゃ駄目という言葉だけが残ってしまいます。

ところで実際には「精神疾患があったけれど、実践しているうちによくなった」という人もごくごく稀にいます。そうした「幸運な人」が存在するのは事実です。そして、そうした人が「私が証拠です!」という感じで現れると、それにすがりたい人が少なからず出てきます。

しかし、繰り返しになりますがそれはものすごく稀な「レアケース」であり、私自身今までに「数人」しか見たことがありません。

逆に一気に精神疾患を悪化(時には壊滅的に悪化)させてしまった人は多くみましたし、ほとんどだったといっても過言ではありません。そしてなによりも「本人はよくなっている気持で絶望的に悪化させている」というケースが多いのが恐ろしい所です。

結局、結論というか、舞台裏をざっくばらんに言ってしまえば、よく本にある「精神疾患全般にいえることだが、こうした病気にかかってる人はWitchcraftに関わっちゃ駄目」という言い方自体が書き手の手抜きであり、しかし、厳密な書き方をした場合の後の面倒を考えると誰も書きたがらない、という現実があり、それが混乱を招いている、といえるでしょう。

ようするに本来の正しい中間の形、つまり安全という意味、で対処できるだけの知識を持っている人が賛成派にも反対派にも絶無に近いのが問題なのだと思います。だったら「ダメ」という方が安全だし、人を不幸にする可能性の除去という意味で正しいと思います。

たしかに前述のように「でも実際私が」という人もいるわけですが、そういう人は「あくまでも自分がそうだった」というだけだということを謙虚に理解して、自分が最低でも精神医学のきちんとした正しい(最低でも医師免許所持レベル)知識を持った上でしか人には勧めてはいけない、ということを肝に銘じるべきだと思います。

結論としてまとめると、

「実践しても安全なケースでも、それを専門知識や経験(もちろん自分の個人的経験ではありません)、必要に応じて専門家のアドバイスが得られる状態という環境を持った上で監督指導してくれる人の下で以外は危険である」

ということでしょうか。Oriental Wiccaでもこうした問題が起きた時、精神科医に相談できる体制をとっています。

ちなみに私の立場を付け足しておくと、「一般的な質問」で聞かれた時はこうした事情から「やめておいた方が良い」と答えることにしています。

しかし、一般論でなく「自分の問題」として聞かれた時は、きちんと病院で治療をした(しているでも可)上で、私も相手の病状や治療状況がわかった上でならばいくらでも相談に乗らせて頂くようにしていますし、実際そういう方も何人もいらっしゃいました。また必要なら精神科医などの専門家に相談しています。また実際私自身鬱病の経験者でもあります。

このことは魔女・魔女志願者の全ての方がたまには他人事ではなく「自分はどうなのか?」という「自分の問題として」振り返ってみる時間を取るべきです。そういう時間を取ることも「大事な魔女の時間」なのですから。

ちなみに蛇足ですが、もう一つこの問題にはより本質的な大きな問題があるのも事実です。それはWitchcraftが神秘宗教であることから来る問題なのですが、この点については一般向きの話題ではないのでここでは省略します。