2016年8月23日火曜日

そういえば

半年ぶりの投稿だったんですね・・・
もっと映画を観る時間が欲しいです。

Bonjour Tristesse

いきなりモノクロ映像で始まり、「これってカラー映画じゃなかったっけ?」という不安を起こさせるスタート。

邦題は「悲しみよこんにちは」

言わずと知れたフランスの女流作家フランソワーズ・サガンが18歳の時に書いた処女作です。

まぁ、この本が大ベストセラーになったことでサガンの人生観にお金の影響が非常に大きくなったと言われていますし、若き日の対談集『愛と同じくらい孤独』(新潮文庫版、朝吹由紀子訳)にその辺のことは多く見ることができるわけで、これはこれで面白いのですが今回は映画の話に戻ります。

さてこの映画、随分昔、高校生だった頃、当時二子多摩川に何件もあったリバイバル映画を3本建てでやっていた映画館の一つで3本建ての1つとして観た覚えがあります。それから数十年が経ち、DVDを見て思わず懐かしさで買ったもののずっと観ていなかったのですが、先ほどようやく観ました。

高校生当時、私は英語が全くできず、もちろん他の外国語も全くできなかったので字幕頼りに見ていたわけですが、実はこの映画を観る前に原作は文庫本で読んでいたので「フランス映画」と決めつけて観ていましたし、実はずっとそう思いこんでいました。

見始めて

「あれ?何言っているかわかるぞ??私はフランス語全然だめなのに・・・」

という素朴な疑問。

「これ英語じゃん??」

と思いケースを見てみたらなんと英米合作
間違いなく英語だったのです(笑い
これはびっくりしました。
気を取り直して(?)そのまま観ていきました。

観ていて思ったのはやはり「いい映画は古いものでもやはりいいなぁ」ということでした。
今の映画は技術も予算も何もかもがこの映画ができた当時より勝っています。それはそれでよくできているし面白くもありますが、それは昔わくわくしながら「ぴあを片手に映画館」に通った面白さと違う気がします。

内容は有名な小説であり、有名な映画でもあるので知っている方の方が多いと思いますが、簡単に言えばデヴィッド・ニーヴン演じる裕福なプレイボーイのレイモンドと17歳のジーン・セバーグ演じる娘のセシールがコート・ダ・ジュールの別荘で過ごしたひと夏の思い出です。

ちなみに端折っているところはあるもののほぼ原作通りのストーリーだと思います。

これではあまりに分からないのでもう少し言えば、ひと夏の思い出と言っても愉快な思い出というわけではなく、セシールのなき母であり、レイモンドの亡き妻の親友でデザイナー、そしてちょうど離婚したてのアンヌとセシール父子をめぐる物語です。ありていに言えば父子家庭の父親が亡くなった妻の親友と再婚しようとして娘がそれに反発。父親が元の愛人と浮気をするように仕向けて破断させようという計画が成功してしまい、失意のアンヌが車で海に飛び込んでしまい亡くなってしまうというあらすじです。

で、私は最初の方で「いい映画は・・・」と書きましたが、たぶんこれってすごく好みが分かれる映画だと思います。

内容の感想以前にそれ?という突っ込みが出そうですが例えばこの父子関係に「リアリティがない」とか「そもそも娘が(しかも17歳の)あんなにエロ親父に理解があるわけがない」とか思ったらその時点でたぶんダメでしょう(笑い

また、そこは乗り切った(?)としてもお互いが溺愛しあいながら、アンヌの死から何も学ばずにその後も二人で放蕩を続けているという後味の悪さがダメ、という人この映画はダメだと思います。

私は歴史物などはともかく、いちいちリアリティを意識していたら面白くないと思っているので、そういうリアリティのなさはあまり気にしないでどの映画も観ているのですがその辺を無視すればやはり名作なのだと思います。

あと字幕の訳のセンスがとても良いと思います。
厳密には英語のセリフとは違っていても下手をするとそれ以上に魅力的なセリフになっている部分が多いです。例えば

「怒りと喜びが少しで後は興奮だった」

という独白部分の訳などはそのワンシーンを一気に脳裏に焼き付けるものだと思います。
またセシールがアンヌが事故死に取れるような自殺をしたことについての評価を語るシーンもほんの一言が物凄い重みをラストシーンに投げかけています。

とはいえ、これ以上抜き出すのは野暮というもの。
そういう字幕やセリフを楽しみに、でも構わないのでぜひご覧になってほしいと思います。

しかし、この作品で描かれる「金持ちで、娘を溺愛していて、娘にも愛され、女好きの男」って、そういう存在が実在し得るかは別として、それだけを取り出して考えるとありそうでなく、なさそうでありそうな人物像だな、と思いました。

ちなみに余談ですが、このレイモンド役のデヴィッド・ニーヴンは1967年の「007 カジノロワイヤル」でジェームス・ボンドを演じた人です。彼の出ている映画は割とはずれがなく名作が多いのでこの映画の後に彼の出演作をたどってみるのも名作との良い出会いの旅となるかもしれません。

と、なんか映画のそのものより、その周辺がほとんどメインの話になってしまいました。
まとめると・・・

「観た後に嫌ってもいいからぜひ観て頂きたい映画」

という所でしょうか。




2016年2月19日金曜日

Arthur

昨日ふと思い立ってスティーブ・ゴードン監督・脚本の映画「ミスター・アーサー(Arthur)」を観ました。内容は大したことない、つまりあの時代ならありだっただろうという感じのいわゆるB級ラブコメ(?)映画です。間違っても歴史に残る名作ではないですが私は当時結構気に入っていました。

気軽に見れるし、80年代を記憶している世代なら案外楽しめる映画だと思います。逆に言えば当時を知らない世代が今観て面白いかどうかは甚だ疑問です。リメイクが2011年に出たらしいですが、今リメイクするようなものでもないかな、と思いました。

憶えていらっしゃる方もいるでしょうが、映画は大したものではなかったですがクリストファー・クロスの主題歌は大ヒットしました。「Arthur's theme(邦題:ニューヨーク・シティ・セレナーデ)」ですが、この曲は妙に日本っぽい曲調だと思います。私の友人も同じように言っていたので、この感覚はやはりそんなに外れていないのだと思います。

この曲のサビの部分に

If you get caught between the Moon and New York City

というのがあるのですが、この英語の語呂の良さに当時妙に感心した覚えがあります。
もちろん英語なのですが、妙に(上手な)日本語っぽい感じのする歌詞に感じたのです。英語なのに日本的な感覚の詩というか、そんな感じがしたのです。

ちょっと蛇足的に解説するとこのサビの部分の

between the Moon and New York City

は主人公の恋する相手が

「私にはお月様が付いているの。いつどこで見上げてもお月様がすぐ見えるところにいる。だからお月様は私といつも一緒にいてくれるの。8歳の頃になぜかそう思ってからそれを疑ったことがないの」

と、言うようなセリフを言うシーンがあるのです。

このセリフは二人が馬小屋で馬を見ている場面で主人公が

「君は恋をしたことがある?」

と聞いたときに

「恋をしたことはないけど・・・」

に続いて出るセリフなのです。

空と大地の矮小版である事はわかっていたものの、この語呂の良さに当時の(若き日の)私は妙に感動したのでした。

さて、考えたらこれを私は映画館で観てから、昨日まで観ていなかったのでなんと35年ぶりに観たことになります。DVD等が発売されていない作品なのでインターネットがなければ観ることができませんでした。そう考えるとネットは凄いな、としみじみと。そして感謝感謝。

こっちのブログも放置したままでしたが、こんな感じで映画の話など思い付いたときに気楽に書いてみようと思います。